子育てサロンをご紹介します

子育てサロンを運営するようになってから12年。2つのサロンを立ち上げてメンバーとともに続けています。新潟市中央区エリアは転勤族や県外出身者が多く住んでいます。私も住み慣れたこの地域で、「子育てのスタートを迎える家庭を応援したい!」という気持ちでサロンを始めました。少しこれまでを振り返り、子育てサロンについてまとめておこうと思います。

●子育てサロンはどんなところ?
子育てサロンは、妊婦さんや子育て中のママパパが集い話ができるよう地域の人たちによって用意された交流の場です。公民館や自治会の集会所など、ご近所の方が集いやすい場で行われ、社会福祉協議会から助成を受けたり、独自の方法で運営している団体もあります。子育てサロンを大まかに言うと、子育て中の親子同士が交流したり、親子で気分転換できる場です。子どもを連れて一人で参加するママの利用が多いです。また、サロンスタッフが慣れない参加者の世話役になり、声をかけてきてくれます。

似たような場所に「親子の居場所」があります。最近は、「他の人の話を聞くだけでいい」「一人じゃない空間に居れればそれで満足」な方もいらっしゃるため、「居場所」として利用している方もいるかもしれません。

私たちは、他者とコミュニケーションをとることで「嬉しい、共感する、自分の場合はこう」などなど、自分や相手の心の動きを感じることができます。サロンの交流の時間に自分の子育てを振り返り話すことは、自分流の子育てを考えることになるのね。他の人の経験を聞くことにもなる。そうした時間を持つことは、自分たちに合う子育て方法を見つけるのにとても役立つと思います。
「子育ては、100人いたら100通り」
正解は一つでないし、自分に合う方法は自分で見つけるしかない!育児を通して「変わりたい」と思っているママ、パパが多く利用されている印象があります。

≪子育てサロンのねらい≫
1、親の不安を軽減し、親も成長し子どもに笑顔で接する時間が増えるようにすること
2、親子がポツンと孤立しないように、地域の顔なじみを作ること
3、地域全体で子育てを支えること、その雰囲気を作ること

3は少し大きな目標ですが、地域の人間関係が希薄になりがちなので、子育て世代に向けたこうしたアピールは大切です。サロンスタッフは、「子育てサポーター養成講座」などを受けた方が多くボランティア活動なので、子育てを応援したい志の高い人が多いなぁといった印象があります。

サロンスタッフには、子育てにひと段落しているベテラン先輩ママがサロンスタッフになることが多いですが、働く方も多いので貴重な存在です。まして、子育て現役先輩ママスタッフは、超レア。仕事をの休みを合わせたり、子どもを預けたりしてくるLianスタッフはすごいな~っ!同じ目線で子育ての話ができる現役ママがサロンスタッフに入ると、参加者も気楽にお話ができるので会場がとても良い雰囲気になってよいのです。でも、子育て真っ只中のママは、すぐに職場復帰してしまうので、支え手不足が慢性化しているのが実情です。

●マタニティ・子育てにもれなくついてくる新しいコミュニティ
少し、私自身のことを書いてみると、初めての妊娠、子育ての時は、転勤族ということもあり、身近に知り合いがいなくて心細かったのを覚えています。そもそも、他の親子とつながろう!という発想がなくて。でも、2人目を妊娠した時は、何かあったら上の子をどうしようと漠然とした不安が自分を襲い、夫の職場のつながりを頼ってご近所の奥様にご挨拶に行ったこともありました。息子と行く公園には、同じような親子とは出会えず、結局、約束できるような仲間はできずじまいでした。

「他の親子との『つながり』を作るために、何かしなければ!」と思い、育児サークルに入ってみたものの、すでに関係ができ上がっている様子…。なかなか思い描いたようなコミュニケーションが取れなかったな、と。こんな体験は、私に限ったことではないことと、上の子の園ママつながりができてようやく分かりました。

Q:似たもの同士が集まれば、自然と交流が生まれる?
Q:参加して楽しい時間を共有すれば、つながりができる?

A:子育てを通したつながりを作るのは、容易なことではない

集う場があるだけでは、個別で来て、個別で帰っていくだけ。子育てのコミュティへの仲間入りを成立させるためには、「つながりたい」という参加者の気持ちとつなぎ役がいることが必要なんだなと悟った時でした。

●つなぎの場を設計する
「子育てを通したつながり」を作るには、参加者側の目的意識を揃えることや交流の場を「設計」することが必要です。サロンスタッフは、参加者の満足度を高め、「またここに来たい」「あの人と会いたい」といった気持ちを引き出せるようサポートします。育児情報に関しては、WEBでいつでも検索できるので情報に困らない世の中になりましたね(むしろ、情報が多くて取捨選択が難しいことが問題)。その場でしか得られないものは、「共感」「承認」「肯定」「賞賛」といった相手があって成立するものです。参加者同士が自由に話せるようになる関係性ができるまで、サロンスタッフはお手伝いします。

≪交流の場、つなぎの場を作るポイント≫

1、参加者同士の自己紹介
その場にいる人がどんな人かを知ることで安心し、会話の材料になっていきます。じゃんけんで最初の人を決めたりアイスブレイクも活用する。
基本:親子の名前、子どもの月齢、お住いの地域、参加したきっかけ など
深める時:「好きなこと、はまっているもの」「やってみたいこと」などテーマを設ける、少人数グループでトークする

2、話題の提起
季節の話、流行っているもの、「嬉しかったこと、こだわっていること」などどの人でも話しやすい話題やテーマを提供します。

3、フリートーク
参加者同士で会話が飛び交うようになるまで、スタッフが発言の順番を考えて質問をふります。参加者の自然な会話を引き立てます。全体トークになったり、小グループに分かれて話題が進んだり、行ったり来たりになることもあります。個別に話したい方がいれば応対します。

4、振り返り
それぞれの参加者が感じたことを言葉にしてもらい共有します。グループトークの場合は、グループの代表者が全体にシェアすることもできます。

5、終わってから
参加者同士の会話の余韻を楽しめるようにします。この時間に、次回の約束をしたり、個々に連絡先を交換できるよう主催者側が促すことも場合によって必要です。次回の予告をしたり、会の終了後も話の続きができるよう会場を提供します(30分程度)。

●ニーズを活かす
子育てサロンでは、子育てに関する問題やニーズを聴取できます。「こういうことが不便」「あのサービスは役立った」などの言葉には、社会に不足している支援や要望が隠れています。また、知りたいこと、話したいことは、次回のトークのテーマを考える時の材料になります。子育てサロンには、その人に必要な支援を紹介したりアドバイスする機能はあるとは言えませんが、「職場復帰のママ集まれー!」「どうしてる?離乳食」といった同じことに関心のある人を集めて交流を深めたり、グループダイナミクスで互いの理解を深めたりすることができます。

●これからの子育てサロン
子育てサロンは、『交流とつなぎの場』。いつも90分程度の短い時間ですが、あっという間に過ぎていきます。スタッフがそろわないと交流リードにも支障がでることを痛感しています。ファシリテーター役がいるといいのにな、保育士ならもっと親子を喜ばせてあげられるのに、とサロンも専門化を望む声があがりますが、地域の熱意のあるボランティアによる手作り感もよいなと思っています。
コロナ禍を経て、感染予防対策を行いながら参加者が安全に参加できるような衛生管理、入場管理も必要になってきました。密を避ける感染予防対策と交流は相反するため、難しい局面を迎えています。会場の換気(現在、地下で窓のない会場…困りました)、入場者管理(感染の恐れのある方は参加をご遠慮いただく、人との距離が取れるスペース確保が大変)など、流行当初の変更には戸惑いました。現在も、体調が悪い時は参加を見送るなど連絡をいただくことがよくあります。たくさんの方に安心して利用していただくには?交流もオンライン化が進んでいますが、リアルに会える臨場感とオンラインの気軽さを子育てサロンの中に活かせればと思います。

  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次